ストーリー

ここは、抱えきれなくなった想いを、一晩だけ預かる場所 ── マ・ヤン
再開発の巨大なクレーンが空を威圧する、東京・東中野。昭和の残り香が漂う、消えゆく街の路地裏に、シャンソンBAR マ・ヤンは静かに佇んでいる。店主の江本圭子は、相棒の老猫トラと共に、夜毎訪れる客たちの「仮面の裏の孤独」をシャンソンの調べで包み込んで来た。 店名の『マ・ヤン』は、沖縄の言葉で「猫」のこと。それは40年前、絶望の淵にいた親友から「私の代わりに歌って」と託された、祈りの場所でもあった。 毎夜、秘密の扉を叩くのは、仮面の裏に傷を隠した人々。秘密の絆に震える人々、亡き母の面影を追う人々、そして己の罪に戦慄する人々……。圭子は消えゆく街を守るため、路地を熱狂で埋め尽くす祭りを敢行し、生命の輝きを街に刻みつけます。 物語が終焉へと向かう聖夜、奇跡は起きた。かつて不慮の別れを遂げた恋人・三原あきらが現れます。数十年を経て、二人の止まっていた時間は、シャンソンの調べと共に再び動き出す。それは過ぎ去った青春への追憶であり、不滅の「人生の讃歌」の幕開けだった。

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