空き地に停まる1台のワゴン。テールランプの赤色に、16〜18歳の少年たち・大杉辰夫(高岡蒼佑)、尾崎弘明(小林且弥)、池田智巳(柘植亮二)の姿が照らし出される。
 3人は、大きな旅行バッグをドラム缶に入れ、撹拌したコンクリートを流し込んだ。リーダー格の辰夫は額の汗を拭い、「どうしてこんな事になったんだろう。俺は一体何なんだろう…」と、空を仰ぐ。
 翌朝未明。朝霧が漂う埋立地に、そのドラム缶は悲しく横たわっていた…

 高校時代の辰夫は、柔道で都大会優勝の実力を持ちながら、柔道部の先輩に陰湿ないじめを受けていた。辰夫の怒りは、母・美佐江(沖直未)への家庭内暴力の形で噴出する。父・信也(中務一友)が愛人の家に入り浸り、ほとんど帰ってこないこともそれに拍車をかけた。
 やがて高校を中退した辰夫は、タイル張りの職に就き、恋人・佳代子(三船美佳)とアパートで同棲を始める。二人は結婚を約束していた。しかし辰夫は暴走族の一員となったり、酔った勢いで母校の中学校で大暴れし鑑別所に入れられたりと、不安定な暮らしぶりが続く。そんな彼のことを、佳代子と勤務先の社長・片桐(永澤俊矢)だけは温かく見守り、更生させようとしていた。
 ある日辰夫は、中学時代の同級生・島田(宮田大三)に再会する。島田はヤクザの幹部・大門(町田政則)の子分になっていた。自分の将来に不安を感じていた辰夫は大門に感化され、片桐の会社を辞めると、ヤクザの下請けでニセブランド品の露店販売を始める。

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